おふくろの梅の木を復活!
「無事でありますように!」と祈りながら、ひとり道なき山に入り、お袋の遺した梅の木を復活させる事から始めた。

エンジン音で猪を威嚇し、草刈り機で道を開きながら梅の木までたどり着くと、お袋の梅の木は健気にも私を迎え入れてくれた。私は枯れていなかったことに胸をなでおろすと共に、何年間も放っておいたことを謝った。そして、周辺の雑木や竹を切り倒し日光を確保した後に、素人ながらも剪定を行い、来年度の梅酒作りの協力をお願いした。
そして、初夏を迎えた。

弟と共に大いなる期待と少しの不安を背負った無駄口を叩き合いながら再び入山すると、果たして目的の地では誇らしげに結実させた樹木が我々を迎え入れてくれた。梅酒4リットル瓶×8セット! に必要な10キロの果実を我々は、はしゃぎながら収穫に感謝した。
おいしくな-れ!

梅の実をきれいに洗って水につけてアクをとり、ヘタを取り除く一連の流れの中でお袋のことを想い出していた。そして、ひとビン毎に梅酒を収めると、床下の冷暗所へ! 私はお袋が最後に作った十年物の梅干しの樽の脇にビンを並べて「美味しくな~れ」の呪文を残して帰京したのでありました。